柔らかな春の風に押されながら、港に船が帰ってきます。銀板写真に閉じ込められていたような静かな街並みも、そろそろ目を覚ます頃でしょう。扉をあけて、春を受けとめながら、ゆっくりと皆で船を迎えにいくのです。
クラフト作家、結城琴乃さんの作品が春の風とともにタッチアンドフローに届きました。木を焦がして描くユニークな“焦がし絵”や、素朴な針金に命を与えるように造形していく繊細な手法が、ひとつひとつの作品に命を吹き込みます。それぞれに物語があり、その世界に吸い込まれていくかのような心地よい錯覚を感じます。初めて見るのに懐かしさを感じるオブジェたちはきっと新しい宝物に。そして、優しいぬくもりを感じさせてくれるアクセサリーは、春の道を歩き出すのをそっと後押ししてくれそうです。結城琴乃さんのつむぐ物語を、ゆっくりとご覧いただきたいと思います。
主材料は髪の毛のようにとても細い針金。根気強く何度も結びながら、虫や葉、花などの自然の造形を作り出していきます。まるでアンティークのようなアクセサリー。もちろんハンドメイドなので、すべてが個性あふれる一点ものとなります。
木片をひとつひとつ糸鋸で形作り、表面をハンダゴテで焼焦がしたり、カッターで切り出したりしながら描いていきます。「焦がし絵」とよぶ技法のブローチです。
小さな家のオブジェはずっと眺めていても飽きません。木のオブジェと組み合わせて、自分だけの小さな街並みが作りたくなります。
展示販売期間
日本橋髙島屋S.C.店:2019/03/13(水)~04/02(火)
※最終日は午後5時閉会です。
結城琴乃 クラフト作家
1972年生まれ。高知県在住
2007年より自宅に工房を構え制作を始める。主に木と針金、蝋引きした紙を用いたオブジェやアクセサリーを制作。全国各地にて、展示会を開催。また、病院などでのパブリックアートも手掛けている。